4.試料の誘導体化
 
 光学異性体分離において、試料の前処理を行わないで直接分離するのが一般的になって
 いますが、直接分離が困難である場合もあり、また、化合物によっては使用する検出器での
 検出が困難なことや高い検出感度を要求される場合があります。このような場合に、適当な
 光学非活性試薬を用いて誘導体として分離すると効果があります。特に微量分析において
 有効です。アキラルなガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィーで用いられている
 手法が利用できます。例えば、アミンではN-アシル誘導体、二級アミンの場合にはイソシ
 アネート類を反応させ尿素誘導体とする、カルボン酸はエステル誘導体あるいはアミド
 誘導体とする、アミノ酸ではダンシル誘導体やN-アシル-O-エステル誘導体等にする、アル
 コールではO-アシル誘導体あるいはウレタン誘導体にすると効果があります。
 検出感度を高める例としては、アミノ酸の光学異性体分離が挙げられます。バリンの
 場合、直説法としてSUMICHIRAL OA-5000により容易に光学分割ができ、検出限界は約
 400pmol(約50ng)ですが、アミノ基を蛍光ラベル化して測定すると高感度測定が可能
 となります。例えば、ダンシル誘導体としてSUMICHIRAL OA-3100により光学分割し蛍光
 検出すると、検出限界は約0.7pmol(0.1ng)となり、約500倍感度を高めることができます。
 また、分離を良くする例としては、シクロヘキシルエチルアミンをジニトロベンゾイル
 誘導体とし、SUMICHIRAL OA-4700を用いると、α値が1.28と、十分な分離が得られます。