2.固定相の選択方法

広い範囲のキラル化合物の光学異性体分離を可能とするよう多種類のスミキラルの固定相が
用意されています。従って、分離したい光学異性体化合物に応じて、キラル固定相を選択する
必要が生じます。現在、経験に基づいていますが、いかに選択の手順を示します。なお、
スミキラルの各固定相にはその対掌体固定相*が利用できます(但し、OA-4800、OA-4900、
OA-5500、OA-7000シリーズ及びOA-8000を除く)ので、分離すべき異性体の溶出順を変える
ことができます。少ない方の成分を先に溶出させると精度良く分析できます(特に、成分比
が大きく異なる場合に有効です)。また、分取においては最初に溶出する成分の純度が最も
高いので、目的の対掌体を最初に溶出する固定相を用いるのが有効的です。
 

*対掌体固定相
  SUMICHIRAL OA は光学活性成分に低分子化合物を用いていますので、多くの固定相に
  ついて、その対掌体である固定相が用意できます。
  例えば、OA-2000はN-(3,5-dinitrobenzoyl)-D-pyenylglycineを光学活性部位として
  いますが、その対掌体固定相N-(3,5-dinitrobenzoyl)-L-phenylglycineが光学活性部位
  になります。

(1)分離対象化合物群による選択
   光学異性体を分離しようとする化合物の種類から、適用可能なSUMICHIRALの固定相を
   示すと、以下のようになります。
化合物の種類 固定相
アミノ酸 ◎OA-5000, OA-6000, OA-6100, OA-8000
オキシ酸 ◎OA-5000, OA-6000, ◎OA-6100
カルボン酸、アミノ酸N誘導体 ◎OA-2500, OA-3100, OA-3200, 0A-3300
◎OA-7000, OA-7100, ◎AGP,HSA
1級アミン、アミノアルコール OA-4700, OA-4900, ◎OA-8000
アミン、アミノアルコール
(2級、3級アミノ基)
OA-4100, OA-4400, OA-4500, ◎OA-4700
OA-4800, ◎OA-4900, ◎OA-7000, OA-7100
OA-7500, ◎AGP, CBH
アルコール OA-2000, ◎OA-4100, ◎OA-4700, OA-2500I
OA-7000, ◎OA-7500, AGP
エステル ◎OA-2000, ◎OA-4600, OA-2500I, OA-4000
OA-7000, ◎OA-7500, AGP

◎印: 特に有効な固定相

(2)化合物の官能基による分類とSUMICHIRAL OA の選択 

 光学異性体分離が必要な化合物をその官能基により分類します(図1)。A〜Jの10種類
 に分類されます。「V.SUMICHIRAL の分離データ」に弊社での分離例を示しています。
 各分類毎に化合物番号を付け、化合物名、構造式、固定相名、α値、クロマトグラム例、
 等が記載されています。目的とする化合物が収載されていれば、そこに引用されている
 SUMICHIRALを利用すれば光学異性体の分離が可能です。また、収載されていなくても、
 不斉中心近傍の科学構造に類似の化合物があれば、その条件で分離される可能性が大です。
 化合物名のアルファベット順、化合物番号順及び固定相名順の索引を利用すれば、より迅速
 にカラムの選択ができます。選択手順を図2に示します。